SDGsって何だろう? ~Think about SDGs~
最近よく聞くSDGsというワード。今回はSDGsとはそもそも何なのかというところから、多角的に現在のSDGsについて考えてみたいと思います。
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SDGsって何?
SDGsとは貧困や人種差別、環境破壊などの地球規模の問題を解決するために国際連合加盟の193ヵ国が2030年までの達成を目指す国際目標です。“Sustainable Development Goals”の頭文字をとった略称であり17の目標を掲げ169のターゲットが決められています。SDGsは「誰一人取り残さない」という理念を根本に据えています。またこの目標たちはSDGsの前身であるMDGsの中で達成不可能だった目標を引き継ぎつつ更なる問題の解決に向けて進化せたものなのです。
前身のMDGsとは?
MDGsとはSDGs以前に存在した“ミレニアム開発目標”というもので、2000年9月に国連で採択され2015年までに掲げられた8つの目標の達成を目指すというものでした。この目標は主に先進国が主導して途上国の目標を設定するという形をとっていました。極度の貧困に陥っている人々が19億人から8億人程度に減少するなど一定の成果を上げましたが、達成不十分の目標もあったためSDGsに引き継がれた形となりました。
SDGsの“5つのP”
SDGsには“5つのP”というものが存在します。これはSDGsの目標を5つに分類した時の頭文字を表しています。また、SDGsの目標はこの5つの分類順で並んでいます。簡単に表すと…
- People 目標1~6
~貧しさを解決し、健康でお互いを大切にしよう~
人の権利などに関わる目標に関するカテゴリになっています。貧しい地域の人々に対する目標だけでなく、先進国でも問題になっているジェンダー問題なども掲げられているという点ですべての人が分け隔てなく平等な権利を行使できる環境を目指していることがわかります。
2.Prosperity 目標7~11
~経済的に豊かで、安心して暮らせる世界にしよう~
すべての人達が豊かで充実した生活を送れるようにし、自然と調和する経済、社会、技術の進展を確保することを目標にしており、主に先進国に当てはまる課題であるとも見てとれます。
3.Planet 目標12~15
~自然と共存して、地球の環境を守る~
限りある資源を守り、豊かな自然とともに、この先も共生していくためには世界全体で今を生きる我々が取り組んでいく必要があると感じます。絶滅の危機に瀕する動物や、地球温暖化は他人ごとではない問題であると考えています。
4.Peace 目標16
~争いのない平和を知ることから実現しよう~
平和で公正な争いのない社会を掲げる目標のカテゴリですが、日本人には馴染みのないもの感じられるかもしれません。しかし、SDGSにおいて「誰一人取り残さない」という理念を掲げる以上、我々は世界で発生している紛争などに関心を持つことが求められるのです。
5.Partnership 目標17
~いろいろな形で、みんなが協力し合う大切さ~
パートナーシップとは日本語で協力関係を意味しますが、このことはSDGsにおいては国家間から企業、自治体、学校、家庭、個人というあらゆる単位において適応されるものであると考えます。身近な協力関係から目標達成へのムーブメントを起こしていくべきであると私は考えています。
SDGsの17の目標における相互性
これらの17の目標はそれぞれ相互に作用している分、同時達成も可能になるものですが、1つの目標が別の目標の達成への対価となってしまう可能性も孕んでいるという点で慎重に進めなければならない部分もあると思います。例えば、仕事がなく貧困な地域に森林を伐採して畑を作るとします。確かに労働問題の解消により、1番の「貧困をなくそう」という目標と2番の「飢餓をなくそう」という問題の解決には近づくかもしれません。しかし、15番の「陸の豊かさを守ろう」という目標に対して問題を深刻化させてしまう恐れがあります。
森林の伐採は地球温暖化に直結しているだけでなく、その地域の地盤も不安定にしてしまいます。こうしたことから目先の達成できそうな目標に対して後のことを考えずに進めてしまうことは非常に危険なのです。目標達成が急がれるのは事実ですがすべての目標の相互性にも気を配る必要があると感じます。
地球温暖化について
地球温暖化には諸説あるのは事実ですが、これだけ人類にとって実害をもたらしているにもかかわらずどこか他人ごとのように扱われているきがします。また、25%の動植物が絶滅の危機に瀕しているという事実が示している通り環境破壊が進んでいるのは明らかです。人々は住居に対して家賃を払ったり購入するなどして生活しているのです。地球にも住まわせてもらっていると考える、というのは言い過ぎかも知れませんが、そういった環境に対する当事者意識を持つことが求められているのではないかと私は考えます。
SDGsの現在
国連では毎年SDGsの達成状況についてレポートで公表しています。
2020年6月の報告では目標1番の“貧困をなくそう”、9番の“産業の技術革新の基盤を作ろう”、11番の“住み続けられるまちづくりを“の3つの目標は急速な進歩を遂げているとされていました。一方目標2番の“飢餓をゼロに”と15番の“陸の豊かさを守ろう”の2つの目標に関しては進展がみられていないと報告されていました。
また、人々の生活は10年前よりは改善されているものの、2030アジェンダを達成できるほどの速度では進んでいないというのが2019年の国連広報の見解でした。SDGsの17の目標の同時達成についてはまだまだ長い道のりがあると言えます。
2020年のレポートに目を通すとコロナの影響が目に見える形になっています。最近の国連広報によると「コロナ禍が貧困解消などで積み上げてきた数十年の前身を後退させている」と指摘しています。同時に、新型コロナのパンデミックは世界でも貧しい人々と最も脆弱な立場に置かれた人々に対して深刻な影響を及ぼしたとしています。こうした厳しい状況に置かれているのは事実ですが、だからと言って歩みを止めてはいけないと私は思います。また、そのためには個々人がこれまで以上に身の回りでできることに取り組むことが重要になります。
日本のSDGsの達成状況
日本の2020年のSDGsの達成度ランキングは世界166ヵ国で17位と前年の15位から少し後退しました。この順位には日本国内での認知度が影響しているとも考えられますが、このランキングでは北欧諸国を筆頭にヨーロッパの国々が上位を占めている状況になっています。日本で主に課題となっているのは目標5の“ジェンダー平等を達成しよう”や目標13の“気候変動に具体的な対策を”となっています。特に、日本ではいまだに企業や国会などで男女平等とは程遠い現状があります。日本の男女格差は先進国で最低レベルの世界121位となっています。日本という国に長い間存在した家父長制という仕組みがこうした問題の根本に依拠していると感じますが、グローバル化が進みその中心に存在している国でこうした現状があるのは看過できないことであると思います。女性の社会進出という課題やLGBTなどのジェンダー問題に対する課題は、日本のみならず東アジアの儒教国家にとって大きな課題となっていると感じます。
日本でのSDGsの認知度
世界経済フォーラムの調査によると、日本でのSDGsの認知度は8%と調査した28か国中28位と最下位となっています。最近では小学校や中学校などでもSDGsに関する授業などが増えてきているようですがこの認知度は看過できないものであると思います。一人一人の行動が求められるなか、SDGsの認知度を上げていく対策が国家全体を通して求められているのではないでしょうか。
企業のSDGsへの取り組み
私たち個人のSDGsへの貢献には限りがありますが、規模の大きい企業ではどうでしょうか。
例えば日本で最も有名な企業の一つであるトヨタ自動車の豊田章男社長は2020年3月期決算説明会で「SDGsに本気で取り組む」と宣言しています。その年の6月には同社サイト内で「トヨタのSDGs」を公表しました。こうした大企業が率先してSDGsに取り組むことで、業界に刺激を与え多くの企業が賛同して目標達成に向かう姿勢が求められます。その姿勢は目標17の“パートナーシップで目標を達成しよう”にもつながるからです。一見経済活動との両立が難しく見えるSDGsですが、経済的視点で考えれば目標を達成して途上国も豊かになればそれだけ市場が拡大し、日本製品の購買も増えると考えられます。こうしたことから、今目標に向かって努力することは未来への投資とも言えると私は考えます。
一方で、消費者からの印象を良くしようと環境に配慮していると謳い嘘をつく企業も存在します。こうした行為を“グリーンウォッシュ“といい、近年ではSDGsに取り組んでいると見せかける“SDGsウォッシュ”という行為も横行しています。本当にSDGsに真剣に取り組んでいる企業を見分ける目を消費者は求められているのかもしれません。
最後に
今回はSDGsの内容と意義、そして現状について紹介しました。元々、私は環境問題や海洋汚染について興味がありましたが、なみまちに入るまでSDGsについて詳しくは知りませんでした。しかし、勉強して行動につなげることで今からでもSDGsの目標にアプローチできると思います。その中でも、一人一人が1から10まで頑張る必要はないと私は思います。周りの友人や家族にSDGsの目標に取り組むことの魅力を伝え、みんなで、一人一人ができる範囲で無理なく目標に進んでいける環境をまずは生み出すことが重要だと考えます。
自身の行動、そしてなみまちの活動が周囲の人に良い刺激を与え、目標に向かって前進できることを私は確信しています。